6月 2016 archive

深夜に帰ってきた息子

 クローズアップ現代という番組で、先日起きた中学生の男の子と女の子が殺害された事件をやっていた。

 いたましい事件だ。

 この番組の焦点は、事件そのものではなかった。

 明け方の4時だか5時に、ちょっと前まで小学校だった男の子と女の子が、わりと頻繁に出歩いていたということについて論じていた。

 俺のまわりでも、

「親御さん気の毒だけど、でもそんな時間までどうして子どもを外に出していたのか、ということは問われるでしょうね」

という話は出ていた。

 俺自身は、報道を追っているわけではないので、それほど知っているわけじゃない。なにかを言うことはできない。

 番組を観ていくと、深夜とか夜中、外を歩いている子どもは珍しくないという話だった。

 そのひとつの要因として、スマホの普及が上がっていた。

 親はスマホですぐに子どもと連絡がつくため、帰ってきていなくとも不安を感じないのだという。

 えぇ?それってどういうこと?

 みていると、LINEとやらでお母さんと息子が、「何時に帰るの?」「わからん」「今日のごはんは○○よ」みたいなやりとりをしていて、結局息子が帰ってきたのは深夜の0時前だとか。

 今は、親と子の関係が友だちみたいになっていて、きつく叱ったりできないのだという。

 う~ん。

 どうなんだろう。自分も親であることを考えると、その世代になったとき、自分は息子とどんなふうな関係をつくっているのか。いざ、息子が十代になって、ひょっとして俺より体大きくなったりしてて、言うべきことを言えなくなるなんてことがあるんだろうか。

 自分と親との関係を考えると、そういう家庭にもならなそうだけどね。そもそも妻も、けっこうきつい、もとい、物事はっきり言うほうだし。

 ただまぁ、自分は置いておくとさ。

 テレビに出ていた親子の場面。

 深夜に帰ってきた息子を「どこにいたの?」「だれといたのよ」なんて穏やかに聞いているお母さんの様子が映されていた。

 それについて、まぁいろいろな家庭があるから、というのは、深夜に帰宅した息子に何も言わないお母さんと同じ態度なのかもしれない。

 俺は、今回の事件を踏まえたうえでは、そういう態度は怖いと思った。

 で、思い出したのは最近またちょっとずつ観ている寅さんシリーズ。

 あちらでは、みんなものすごくケンカするんだよね。

「出てけ、寅!」
「それを言っちゃあ、おしめえだよ」
「旅行なんて、行くんじゃなかったよ」
「兄さん、それはいけませんよ」

 なんて、場合によってはちゃぶ台の上のものをひっくりかえしたり、激しい応酬がある。でも、家族の関係ってのは、どんなに怒鳴ったり、手がでたりして、「それを言っちゃあ、おしまいだよ」と言い合っていても、おしまいにならないのだ。

 今さぁ。俺自身も含めた世代の傾向として、あんまり激しく怒りを出したり、手を出したりってことはないんだろうと思う。

 それはひょっとしたら、寅さんの時代に当たり前だった激しい応酬に、うんざりした結果というのもあるだろう。現実にやってたら、そりゃ寅さんのようにコメディばかりでは済まない。

 とはいえ、こっち側の世代にいる俺としては、あそこまで激しい応酬ができるっていうのは、お互いそれで関係が崩れないって信頼があるんだろうなぁ、なんて思うんだよね。

 振り返ってみると、どっかで俺と妻とか、俺と自分の親の間でも似たようなこと、あった気もするけどさ。

 
 話は番組に戻るけど、

 筑波大学の先生だったかな。コメンテーターとして出ていた。そのときのコメントで、

「私も親の子として」

といいかけて、先生とまったんだよね。あれ?と自分でも思ったのだろう。

「親の子として・・・」

 言葉が出てこない。キャスターが

「ご自分にもお子さんがいらっしゃるということですね」

とか、フォローしてたっけ。

 妻と見ながら、

「これってさぁ。生放送なのかね」

「どうなのかなぁ。録画にしては、けっこう話題が最近だったりするよね」

なんて話していた。

 人の失敗をあげつらうのは、中古プロジェクターが趣味でよくないけど。

 重い話題の中で、一服の清涼剤にはなった気がした。